俺の娘たち

こいつら怖いねぇ。まだ7歳と5歳だよ。俺に「極め方教えて」だって。極め方って仕留め方だよ。力任せに極めるわけじゃないからね。そこが面白そうに思ったんだろうな。手首を捕られた時の対処法とかをいくつか教えてやった。藤原組長から教わった技術を応用したやり方を教えたら、上の娘は俺のやったとおりの事を100パーセントこなす。尤も大人と子供の体格差だから掛かりはしないが。下の娘はそれを観て、「りんちゃんならこうやるよ」なんて言って肘を使ってきてね。俺をうまく極めちまいやがった!ちゃっかり教えた方法を応用してるんだもん。まだ5歳だよ。上の娘はとにかく俺のやり方をそのまま受け継ごうとする。ポイントをばっちり把握しちゃう。そんなことを今日、須賀川のジョイフィットスタジオで参加した生徒さんたちに話したらびっくりしててね。その生徒さんたちも少しの時間同じ技をやってみたが掛かるもんじゃない。ポイントがまだわからないからだけどね。俺のDNAをもろ受け継いでるのかなぁ。かわいい顔してえげつないことを知ってるんだもん。生まれたらすぐ道場の空気を味わってきてるんだもん。他の子供とは環境自体が違うからね。あの年代の普通の子供ならきょとんとして緊張感も何も知らないからボーっとしてることが多いもんだけど、入門当初からそんなことはなかった。道場の気合を子守唄みてぇにして育ってるからな。これは無門会の富樫会長の娘も似ていたね。子守をよく頼まれたもんで、これが一筋縄ではいかない。会長の気性は半端なかったからさ。それをよく見てきてるんだねぇ。俺の娘も上の娘は俺の組手をまねてしまう。だから早くも指導者みてぇにデンと構えちゃってるしな。下の娘は俺の若いころを思い出す。でも空手の枠をはみ出したりしねぇからまともだよ。将来野郎がびびっちまって逃げちまうかなぁ。俺のようなバカな親父を持ってツキのねぇ子供ではあるな(笑)。

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