空手家倉本成春先生

俺は一度だけお会いした事がある。名刺交換くらいだけどな。空手の指導者にも指導するぐらいの先生だ。形を否定し、独自の空手を作り上げた人だけど。形を否定してというから、多分最初に技から指導されたんだろうね。それが組手になると使えないんだ。だから独自の空手へ。俺も技から入ってなかなか伸びなかった。その時はあまり疑問には思わなかったけどな。いざ教えるにあたっては苦労した。このままではダメだと思ってな。技から教わっても実際には使えない。最初に組手の仕方から教わった方が伸びるんだ。倉本先生はその点見切りをつけるのが早かったと俺は見ている。形を否定までする必要はないのが俺の考えだからな。だけど倉本先生のような空手も空手だと思ってるよ。空手家が使えばそれは空手家の技。たとえば柔道家が突き蹴りを使用したとすれば、それは即柔道家の技だよ。もはや柔道じゃない！と言う人もいるだろうけど、柔道の試合だけにこだわるからそんな考えが出るわけでな。生き残るためには何でも出来た方がいいんだから。倉本先生の考えも今俺は参考くらいにはしている。ただ形から出来る技の力を信じたいだけだ。