何も生まぬ戦い

戦いなんていうのはただ虚しさだけが残る。戦争を経験した人なら分かるだろうが、そのあたりは伝わらないケースが多い。人対人の強さのみを求めて空手などの稽古をすればいずれは何もかも虚しくなってくる。じゃぁ何のために武道の稽古をするのか。その答えは自分が持っているものだ。俺は虚しさを覚えたのはケンカだったな。女のためとはいえやり過ぎちゃってな。でも自分1人が残されて気づいた事は、俺は他にやらなきゃいけないことがあるってね。それで治療技術を学んだんだ。空手の指導もな。試合に勝つ事が全てだと勘違いしてしまっても結果は虚しさだけ。空手を稽古する人間より、応援するだけの父兄さんが陥りやすい。残念な事に虚しさを人のせいにして、他の道場へ子供を行かせてしまう人がいるが、結果は何も解決にならない。結局自分だけが残るんだ。武道において向けるべき相手は自分のみ。それは生涯一度あるかないかの至福な時だ。強さを求めるのは第一段階。その虚しさを乗り越えて道を悟るんだ。