昇級昇段

今の人にとってはただの紙切れでどうでもいいものになってるみたいね。子供にとっては励みだからな。うちの若い女性に昇級の話をしたら昇級するつもりはないらしくてね。俺は若い頃は段位がほしくてほしくてしょうがなかった。入門する頃なんて黒帯はもとより、緑帯をまいてるだけで神がかった存在に見えてな。自分が段を取得する頃には大したことなくてな。いざ自分がなってみると自分が神様なんて全然思わないもんだ。だからこそ上を目指したりしたんだけどさ。結局はその繰り返しで今では六段達士を取得しているが、七段を目指そうとは思わないなぁ。別に十段なら人間的に素晴らしいかっていえば全然そんなことねぇんだからさ。自ら勝手に十段を名乗ったただのインチキ人間だってごまんといるんだ。それが全てとは思わない。年配の人に言わせると昇級昇段には興味があるというね。白帯じゃぁかっこうつかないってね。俺は次女の保育所の保護者会長をやってるが、こういうのも昔はやりたがる人がいっぱいいたんだっていうよ。今の人はかえって重責だっていうんでやらないよな。俺も以前は空手団体の幹部もこなしてたけど、一度団体内でもめてね。もうやってられなくてな。いくつもの組織に入ってはいても上に上がっていくつもりがない、フリーランスっていうのが流行ってるくらいだからな。年中白帯でも十分ていう人がいても全然おかしくはないか。