俺にとって影響が大きかった無門会時代

あまり過去を振り返るのは武道家としていいことではないかもしれないけどさ。今の若い人には考えられない厳しい練習だった。一般稽古とソフトクラスがあったけど、ソフトクラスでさえ3時間稽古するからな。一般稽古は4時間。俺は練習がきついっていうより、怪我が多かったことだ。無事に道場から帰れるのかがいつも練習前の怖さだった。怖くて行きたくないなぁってね。「今日は行かない」と決めていたのにもかかわらずハッと気が付いたら原チャリで道場に向かっていたこともあったな。ここで痛めた膝と肩は後手術した。ドクターストップは当然かかっていたよ。医者に「空手で食べていくわけじゃないんでしょう?」のセリフにムキになってさ、「空手で食っていきます」なんて言って自分から診察室を出て行ったこともある。どうにもこうにも怪我ばかりだから、俺は道場に行く回数を減らして、深夜人気のない公園で基本と移動稽古をするようにした。ある時は4時間はやったよ。会長からすれば道場に来る回数が減ったから「何やってんだ!」だったけどね。後々考えてみるとこれがいい方向に行ったね。基礎体力に関してはコツコツやっていたけど、身体が空手の体になっていなかったみたいだね。空手の体になれば自ずと力が付く。武道力というか空手力だ。これはその後もずっと積み重ねていったからね。筋トレをそれほどやっていなくても「すごい力だ」と言われたりすることがあった。藤原組長のセミナーでも日龍さんに「力ありますね」と言われた。力を込めたような覚えはねぇンだけどな。最近はこの力も落ちてきた感じもするけどな。筋力というよりは中心力だ。純和会の技術はどちらかといえば清心流だけど、俺はどうしても真っ向から出て行ってしまう無門会の癖はいまだ残っている。

最近、道場生が減ってきてて、何が原因かを考えもしたけどこれだっていうものがなくてな。とりあえずタクシー乗務を行かないようにして武道に専念したいと考えた。生活上タクシーから離れるのはなかなか難しいんだけどね。