先読み

俺が下積み時代にはこれが要求された。先生が何を考えているか。次は何をやろうとしているかを先に読んで行動する。最近の若者にはこれが欠けているように思える。言われたことしかやらない。職人さんにはこんな先読み技量が当然ついてくる。今俺はトラック運転を一人でこなせるようにはなったが、荷物を積むときに荷物の形、重さを読んでトラックに揺られたときどう転がる可能性があるかを先に読んで積む。無門会の内弟子時代にも、会長がやろうとしていることを先回りして準備することが要求された。最初はうまく行かないものだが、会長のやろうとすることに「こうされてはどうですか?」みたいなことが言えるようにもなってきた。慣れてきたころには会長も認めてくれるようになったのは覚えている。当然の如く空手にもこれが必要条件になってくる。相手様が行動してからでは遅い。裕子もうちの治療室を手伝うようになった時、先読みがうまかったよ。これができない若者。それでどうやってこれからの日本を支えるんだ?言われたことがすべてではダメなんだよ。空手の極意も人に打たれず人打たず 事なきを基本とせよとある。組手が成り立ってるようじゃ空手じゃないんだよ。人を打たなきゃ打たれてしまううちはまだまだってことだ。