少年部の一人

師範が怖いから練習行きたくないと言っている。無理もない。その子、週1しか練習に来れないんだもん。これが週2とか週3通ってればなれるのも早いんだけどな。でも、俺はその子に怒った事なんて一度もねぇゾ。まぁ、迫力はそれこそすごいだろうから、次はこっちに来るんじゃないかなんて恐れはあるだろうな。今の学校のように指導半端な体制とろうか?まちがいなくけが人出ちゃうぞ。そういう道場もあることはあるよ。でも、そういうところは組手まではやらないはずだ。緊張感。これは学校なんかでは教えることはできないからな。特に今の学校教育ではありえない。だからこそ今の子は怒られ慣れてないんだよね。親がしっかり教育できりゃ何の問題もないことだんだけどさ。その緊張感がある中で体を動かすことは将来には必ず役に立つよ。社会人になって、何かとんでもないことが起きたとき、あわてずに対応できるのはこういう緊張感の中頑張ってきたやつだ。うちの娘なんか赤ん坊のころから道場の気合を子守唄にみてぇにして育ってきてるから、あまり緊張感ていうのも「いまさら」みたいな感じでいるんだけどさ。言っておくけど、俺はいつもは冗談ばかり喋ってるからな。人が近づけねぇ様な雰囲気にはなってないよ。おそらくはその子も俺のそういうところだけを見て入門を決めちゃったんだろうね。でも、誰でも通る道だよ。道場行きたくねぇなんて、昔の道場なんか今では考えられないくらい怖かったぞ。道場稽古が終わると、怪我しなくてよかったってとにかくホッとしたもんだ。道場ではケガだけは気をつけねばならないから、緊張感、これだけはどうしても切ってはいけない代物だ。