子供のマッサージ

俺と裕子が治療室を盛り上げようと色々試行錯誤したり考えたりしてきてる事を長女の純帆はよく見てるんだよね。ある時、純帆が子供のマッサージをやればいいんだよ!と言ってきてね。もちろん技術は子供に習得出来るものじゃないからね。そうすることはできないよ。だけど娘の気持ちが分かる瞬間だ。子供には習得出来る技術じゃないんだよなんて事は言わなかった。言えなかったと言うべきかな。その後俺は何と言って返したかは忘れちゃったけどね。あの娘のセリフと気持ちは嬉しくてね。俺が高度な技術を持って、沢山の人を治療してきてる姿はあの子も目の当たりにしてる。ある患者さんが辛そうにしていて、朝からとんでもない緊張感のなか、症状を取って患者さんに深々と頭を下げられた事もよく知っていた。かえって俺の方が忘れそうだけどね。娘の期待にはやっぱり応えてやりたいね。