闘わずして勝つ

空手の組手でも、確かに俺はできる。若い頃お世話になった無門会の会長の言うユッタリズム。形は違うけど。でもね、少年部には通じないんだよ。特に何年もやっているうちの少年には。少年は全然関係なしとばかりに攻撃してくる。無門会会長もバカには通じないなんてことを言ってたけど、バカというよりは少年こそは無心なんだよ。大人になると色々な汚いものを見たり聞いたり、無心になりきれなくなっちゃうんだな。よく、子供のまま大人になったなんて言う人がいるけど、俺はそういう人に会ってみたいね。その点指導員候補の勇唯斗くんはやっぱり大人だ。でも、そういう少年のような心を忘れることが出来なかったからうちの道場に戻ってきたのかもしれない。

話は変わるが、空手はやっぱり闘うためのものではないことが分かる。勝ち負けも関係ない、技も関係ない、そんな空手こそストレスがない、空手の楽しさが分かる。若いころは空手をやっていたという人はおそらく大人になるにつれて無心を忘れてきちゃったのかもしれないなぁ。惜しいことだ。カイロプラクティックも施術しないことが極意というけど、まったく同じだったね。

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