俺の練習

まだ練習してるんですかと聞いてくる人がいるけど当たり前の話だ。素人考えだとおそらくはスポーツ的な自分を心臓破りの練習で追い込んでると考えるのかもしれない。筋トレはやるけどそれは主なメニューじゃない。形とかやって自分の体を調整するくらいだ。それにやってないと自分の内面に気付かないし、生徒の前に立てない。空手は形のないものだからさ。これをやればいいみたいな事務的な物とは違うしな。いつでも戦える自分作りと言えばかっこいいが、意識するのはあくまで自分であって敵なんかいない。若いころはいたよ。ライバルと呼べるようなのが。いつか見てろよって思って練習してたよ、その頃は。なつかしいね。人を意識したことばかりだった。そのライバルも今は亡くなってしまったからな。一緒に稽古してた時は夜中に励まし合いながら稽古してたよ。今はそんな人とどう戦うかなんては考えないが、いざ何かあったらやっぱり動けちゃうんだよ。組手なんかこの歳ではとても若いのにはとても敵わないよ。でも、立ち合い、決闘まがいになれば若い奴は俺に指一本触れることもできないっていう自信はあるね。こんなこと話しても素人さんには分からないかなぁ。武道イコールスポーツ格闘技だと解釈するのが一般的だから。だから風邪なんかひかないね。体力は間違いなく落ちてきてるけどね。人対人、これをいくらやっても勝とうが負けようが結局は自分が残るんだ。それだけではあまりにせせこましいし虚しいだけだ。敵は自分の弱さだと思えばいい。ただナルシストかもしれないな。