空手の強さとは

空手の強さ。素人考えでは人対人の強さしか見えてこない。大会などのね。自分の子が試合で活躍などすると、ついつい父兄は勝ち負けしか見えて来なくなる。根本の精神鍛錬などどこかに忘れちゃう人は多い。空手の技なんか人を傷つけちゃう技ばかりなんだもん。その強さしか見えなくなれば、それは人を傷つけて、やがては自分を滅ぼしてしまう。何とも虚しい結果に終わる。勝っても負けてもだよそれは。試合なら安全性がついて回るからいいだろう?ならいいよ。でもそうなったら実戦の強さではないよ。だから上には上がいることになる。人対人。これだけにこだわるのはあくまで第一段階だ。霊長類最強にならなければならないわけじゃないぞ。人対人の強さを求めたうえで、その強さを世のため人のために役立ててこその強さじゃねぇか。プロの格闘技だって人対人には変わりない。だけど、その強さで家族を養っていくなら人の役に立ててるんだ。俺は自分が人対人の強さを求め、行き過ぎて友人をなくし、大学は一人さびしく卒業したよ。しばらくは練習なんかする気にもなれなくてな。体調まで崩してさ。しばらくして近所の子が集まってきて、空手を教えることになった。教えるほどのレベルに達したなんて思ってなかったけどな。そこでまた空手に対する情熱が湧いてきた。そうこうしてうちに治療家になる決意もした。強くなるまでに自分も体を壊してきたから当時の父兄も身体についていろいろ質問してくる人もすでにいた。専門家になったわけではないからな。だからこそ勉強が必要になったんだよ。強さを身に着け、そこで自分がやらなければならない事を悟ってこその武道だ。人対人の強さを求めることをやめる必要はない。でもその執着からは解き放たれなければならない。解き放たれたとき道を悟るんだ。あとは自分の信念を貫くだけだ。黒帯の黒はどんな色にも染まらない、自分を貫く色だと思うことだ。