達人

俺は達人じゃねぇなぁ。とてもとてもまだまだ及ぶところじゃない。けど、達人になれるって本気で思ってるよ。それを目指してるんだ。成れると思ってるよ。こういうことを言うと、自惚れだなんていう人間がいる。目指すだけで自惚れだからな。頑張って何が悪いのか聞いてみたいね。達人になる人っていうのは、幼少時代などで、周りの人より学業の成績面や体力面で劣ってたりしたりする人が多い。俺も同様だ。だからこそ頑張ろうとするんだけど、周りの人とは違う方向に進んでいく。人がやらないことをやるようになる。人と発想が違うもん、周りの人からすればすごいすごいとなる。種を明かせばわかる事なんだが。俺は無門会に所属はしていたが、俺にはとてもあの本部道場でやっていける自信がなくてな。一人練習をとにかくコツコツやった。俺には後々これがよかった。今では信じられない様な力が時々出るようなこともある。体力的に限界でフラフラな時の方が間違いなく力が出せる。一般の親御さんも自分の子供をつい、ほかの子と比べてしまって劣ってるなぁと感じても焦らないことだ。必ず人と同じやり方をしなければいけないなんて法律はないんだ。うちの道場にも障害があるんじゃないかって思うくらい上達が遅い子もいた。けど、練習は好きだった。親も焦る必要なんてなかったのにね。学業がという事で辞めてしまった。みんなと同じじゃなきゃならないなんて誰が決めたんだ?下手すると大会の成績が悪いだけで、辞めてさせてしまう親もいる。どこでどう花が開くかわからないんだ。好きなことならどんどんやらせておいて悪いことなんてないんだよ。俺も大会でいい成績なんて出してないぞ。むしろ反則負けになったくらいだもん。でも師範になれた。みんなと同じような道は歩まなかったよ。人と足並みそろえて、いざとなったら人のせいにするような弱い人間には気が付かない。俺の娘もみんなと同じ道は進むとは思えねぇな。今、空手をやってるけど、楽しそうに頑張ってる。空手で身をたてるかなんてわからない。たてなくてもいい。何かきっかけにはなるだろう。