道着を着て組討ち

三瓶さんは柔術着を持ってるからね。俺は空手着だけど、黒の胴着は丈夫だからそれを使ってみた。いつもできることが出来なくなっちゃうね。それに手首がパンパンに張ってきてね。なかなかやりにくいものだが、三瓶さんは胴着を着ると藤原組長仕込みの関節技を今まで防御できたものが忘れちゃうみたいでね。これで何度もスパーリングをやってみた。途中で三瓶さんが首が痛くなってきたので中止してすぐ治療した。道場生は無料で診察を受けられるのがうちのいいところだ。その後は技の研究をやって組討ちの攻防連鎖をやって終了した。あまりガンガンスパーリングをやると体が持たないな。総合格闘技クラスもいろいろなルールでやってみようという事になったので面白味も増してくるよ。それでついついスパーリングばかりやっちゃってたんだが。ちなみに俺は柔道はほんの少し経験があるが段位は持ってない。だけど若いころは初段クラスは何人も転がしてやったことがある。空手をやっていたおかげで受動筋力がついてきてて、投げられない力がついてきたのと、襟をつかむのは柔道家より速いからな。今ではそんな力はないだろうが、相手の投げる力を利用して自分の有利なポジションに移行する技術とかいつの間にかついていた。空手を長年やっていることがほかの格闘技に生きる事なんか若いころは考えたこともなかったよ。若いころは組んで闘うなんて嫌いなことだったんだけどな。