敵わないねぇ

裕子が目をかけてた少年部の生徒が学校で友達にソフトボールに誘われて辞めることになった。それも兄弟で。空手は今、大会はコロナで全て中止。張り合いがなくなってしまうんだ。そうなるとソフトボールは新鮮にうつる。この父親と母親はガッカリ。母親はいつまでも粘ってたよ。空手にとどまるようにさ。もっと年数空手をやっていれば空手の楽しさが分かってくるから、誘われても動く事はないんだが。子供にとっては勝ち負けは大きいし、ウデ試しだってしたいしな。今空手道場はそんな楽しみがないからな。俺は案外無味乾燥な空手に魅力を感じていたけどな。それでも道を間違えて暴れたりしたけどさ。裕子はその日、道着を着る気持ちになかなかなれなかったみたいだよ。