今考えてみると

若い頃所属していた空手道場。無門会。今同じ事をやれと言われたら、冗談じゃない。絶対的に無理な話だ。当時は右も左も分からない世間知らずの小僧っ子だからな。おまけに必死だったよ。よく考える事もなかったから無門会に所属出来たんだろうがな。会長の指導方針は教えない教え。一切口頭では教えない。道場生にも道場生に口頭で教える事を厳禁としていた。俺も20歳くらいだったか、グンと伸びた時期があった。会長は教わったなとか言って認めようともしなかったんだ。尤も俺から言わせれば、教わろうが、教わらなかろうが大差無いんだよ。技を習得出来ない人は何をしても習得出来ないんだからさ。そのあたりから考えたというか、それだけじゃないんだけど、会長は極意を掴ませないようにしていたんじゃないかなぁ。会長の技術に対する考えは、あのグレイシー一族に似ているしな。自分を神格化する事で経営が成り立っていた部分は否めない。未だに無門会空手の完成者が出ていない事でも考えられる。俺は今の純和会空手を追求して無門会の極意の意味が分かってきて思う。でもあの会長の強さはハンパないと考えるのは今でも変わらない。