非情さ

非常事態っていうこと自体、あまりいいことではないかもしれないけどな。でも、いざという時に自分の力が出せなきゃいけない時は多々ある。携帯の動画でプロレスラーの高田延彦柔術ヒクソングレイシーの試合を観てたが、あの時の高田氏は非常になりきれなかったのが見て取れる。あれが前田日明氏だとそんな時だとパッと動くんだろうね。前田氏は「俺はやってもええよ」と言っていたけど、ヒクソングレイシーだとそんなことも知ってて前田氏とは試合をやらなかったんだと思うけどさ。プロレスラーも武道家も非常事態に備えて練習しておくわけだが、いざという時に力が出せない人もこれまた多い。俺か?出せるだろうね。力はいつの間にか出ちゃう感じだけどさ。相手次第だなぁ。でも、こんな時冷静な自分というのも確認できなきゃな。無門会時代にお世話になった清水師範はよく言っていた。いざという時に冷静に自分を観察しながら力を発揮できる人とできない人がいることを。パニックになったり感情的になるようじゃ、それこそスイッチが入ったとは言えないよな。これだけはいくら指導しても変えることはできないんだよね。そういう意味では武道に不向きな人もいるってことだ。でも非常事態に力を出せるからって、ケンカでそれが出来たとしても気持ちがいいものではないからな。自分や愛するものを守ることはできるけど。逆に力を発揮できない人はうまく世の中を渡っていくしかないわけだが。俺の両親はそんな人間だった。エリート街道を歩んでるしな。俺は脱落しちゃったが、脱落しなきゃ今の人生はあり得ねぇンだからな。波乱万丈だが、たまには平穏無事で世渡り上手な人間がうらやましくならないこともないよ。