メチャクチャなはると君

とにかくふざけてるんだよ。それも真剣にね。口はとにかく達者だ。ふざけるから周りの子も「ちゃんとやって！」っていうけど、はるとにとってはそれがちゃんとなんだよ。他の子と考えが違うんだな。まだ４歳、年中だからかと思ったけど、年少でもみんなと一緒にやるからな。ふざけてる中組手で撃たれると泣き喚く。最優秀選手賞を取ったらそれが酷くなってきちゃってね。俺の次女の臨は最優秀選手賞をもらって以来、真面目に取り組んでるんだけどな。昨日のはるとは組手でやられて騒ぐから、俺が「俺とやるか？」と言えば逃げるかと思えば頷くんだよ。一緒に乗ってやったよ。おふざけでさ。そうしたらあの野郎、「ふざけてんじゃねぇよ！」だからな。つい、大笑いしちゃったら「笑ってんじゃねぇ！」と来てな。母ちゃんは「誰に向かって口きいてんだ！」ってなる。師範になって初めて怒られちゃったよ（笑）。とにかく俺は静観してるんだよ。底が見えてこなきゃ本当の対応はできないからな。あいつはそれこそまだ見えてこないなぁ。俺の予想を超える人間になるんじゃねぇかなぁ。このはると君。保育所は臨と同じで同じ教室だからな。お遊戯会の姿も俺は見てるんだけど、これがほかの子よりうまいんだよ。道場に来たらそれを切り替えちゃうんだからなぁ。いずれにせよ、道場には周りを少し引っ掻き回すくらいの人間は必要だと思ってるんだよ。そうすると周りは自らとちゃんとやるようになるからさ。以前いたんだよ。引っ掻き回す子は。だけどこの子は練習は真剣にやらずに一番になりたいだけでな。そんな方法なんかあるわけないが、てっとり早く強くなろうとする子だった。この子はいずれ気が付く時が来るだろうよ。写真一番手前左側がはると君。こいつの周りには人が集まるんだよ。ガキんちょだけど、魅力があるってことだよな。