居合

ちょっと忙しくて居合の時間が取れなかったんだけど、今日やっと真剣と向き合ったよ。気持がいい。癒しだね。逆にやらないとストレスになっちゃうかも。何か俺にとってプラスになるんじゃねぇかなって思って、ちょくちょくやるようにしているところだ。癒されて、前向きな気持ちが保てるんじゃねぇかって思った。別に自分に対するご褒美にはならないかもしれないけどな。やっぱり修行には変わらないんだから。敵なんかいない。いや、いらない。もし敵がいるとすれば己の弱さかな。何度か刀を振っているといつのまにか自分の世界に没頭しちゃう。無心だ。空手と比べても早くこの境地に入っちゃう。最初は組手に役立つくらいにしか思ってなかったけど、これはそれ以外にも役立ちそうだ。以前、付き合ってた女に「刀と私、どっちが大事?」なんて聞かれてね。あっさり「刀に決まってる」って言っちゃったよ。言わなきゃ怒らせることもなかったが、そんなこと言う女もどうかなって思うけどな。結局別れることになったが、それでよかったと思う。もともと比べることが出来ないのに、それを比較対象にしちゃう女は願い下げだって思ったね。まともな女なら聞かねぇゾ。「仕事と私、どっちが大事?」って聞いてるのと同じだよ、俺にとってはさ。裕子は聞いてこねぇゾ。裕子と付き合ってた時、デート取りやめて仕事を優先しちゃったことあるけど、一言も異論を言わなかったからね。かえって悪いことしちゃったなって思ったけどな。とにかくはまるんだよ、居合は。格闘技は相手あって初めて楽しさが分かるものだけど、刀、真剣さえあればいい。昔の侍の心境に近づけるとか言っても分からないかもしれないけど、とにかく俺は深いことは考えない。練習も仕事も楽しむだけだ。