タクシー乗務中に…

飲み屋からおねぇちゃんが彼氏に連れられてタクシーに乗ってきた。グデングデンだ。ついには俺にも絡んできてさ。「運転手さ~ん、いつまでこんなことしなきゃいけないのぉ?」だって。「やめてタクシーやりな。稼げるよ。」と言ってやったが、月100万稼げるから離れられないんだと。なら文句言っちゃいけねぇよ。続けなきゃな。文句を陰でたらたら言いながら続ける奴の気がしれねぇンだよ、俺は。俺なら文句言うくらいなら辞めちゃうよ。でも、月100万稼げるのはいいけど、そんな仕事は長くは出来ないよなぁ。嫌なお客さんもいる中でニコニコしながら飲まなきゃいけないんだもん、そりゃ大変なのはわかるよ。でも、沈んだ気持ちで接客されてみなよ、そのお客さんだっていやだろうよ。仕事だもん、リスクは付き物だよ。それでお金をもらってるんだからさ。俺もお客さんに聞かれるよ。「絡んでくるお客とかいるんでしょう?大変だよなぁ。」ってさ。俺からすれば、そんなのは一瞬だからさ。すぐ忘れちゃうもん。過去のことなんかすぐ流せなきゃ、どんな仕事だってできないじゃん。でも、間違いない仕事と言えば月100万も稼げはしない。そのおねぇちゃんには「コツコツやるのが一番だよ。」と言ってやった。これには彼氏も頷いてたよ。空手だってすぐ強くなるわけでもない。コツコツやるしかない。てっとり早く強くなれるかみたいな相談持ちかけてくる奴がたまにいるんだけど、仏門にでも入った方がいいんじゃねぇかな。一番は精神面だ。それが嫌ならコツコツやれって。