後輩いじめ

今の空手道場にはねぇな。他は知らないけどさ。大相撲の世界には‘かわいがり‘というのがあるけど、これは本来いじめとしてやるものではないはずだ。でも、いじめるやつなんざどこにでもいたぞ。今は訴えれば何とかなるのかもしれないけど、それはちょっと情けないような気もするねぇ。俺が若いころは空手道場にもあった。俺は威張った指導員を逆にいじめてやったし、会長にガン付けもしたよ。まぁ、俺は支部長までも殴ってるからねぇ(その後金蹴り喰らってのばされたけどさ)。上下関係が分からなくなるくらいでこの道場にいられなくなっちゃったけどさ。逆に後輩をいじめるなんてことはなかった。先輩をボコボコにしてやるくらいの元気いい奴はいないのかねぇ。柔道にも後輩をいじめるなんてあったしね(俺はいじめには見えなかったが)。実力をつけて見返してやるくらいの度量がなければ、間違いなく若い者が甘やかされすぎだと思うよ。

うちにも俺をそれで叩こうとした父兄がいたぞ。そう思うならと父兄のために見学会を設けてやったけど、逃げるようにやめていった。逆に指導者も厳しさといじめの区別がつかない若者が多い中、資質が問われる時代でもあるわけだ。後輩が納得できるように厳しくすべき。でも、プロならばいじめなんてなくりゃしないよ。それを含めて今に見てろ!と言えなくてどうするよ。うちの道場には今、全然昔の道場自体の怖さがないからなぁ。プロ選手を育てるつもりはないからいいけど、その時代はまだ楽しかった。みんなに余裕があったし、隙あらば人をたたこうなんて人はいなかった。